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OPINION「株式会社松尾印刷所 代表取締役 松尾建国」

東京から島原に帰ってきて22年になります。
22年前の島原は、東京から帰ってきてすぐの私にとってすごく不便だった記憶があります。
コンビニもありませんでしたし、確かまだ有名なチェーンの飲食店もなかったように記憶しています。
そもそもまだ東京にいるつもりだったし、当時もしかしたら島原に帰るという選択肢は限りなくなかったと思います。

たまたま時代は、windows95が発売され個人でパーソナルコンピューターを所持する時代に突入、インターネットが普及し始めたのもちょうどこの頃でした。
我々の業界(印刷業)でも、写植・版下製作・製版といったアナログ工程は、APPLE社のMacintoshによるDTP(デスクトップパブリッシング)に置き換わり、当時私が東京から帰ってくるきっかけになった父親からの電話での会話は今でも忘れません。
「お客さんが原稿を紙でくれない。
フロッピーとかいうプラスチックの板の中に原稿が入っているというが、これをどうすればいいのかわからん」―でした。

そんな状態の実家をほっておくわけにもいかず、しぶしぶ帰郷してから最初の1年は、早く仕事を終わらせてパチンコに行ったり飲みに行ったり、長崎や熊本、福岡に遊びに行くことばかり考えていました。

島原に帰ってきて2年目、結婚という節目と同時に島原商工会議所青年部に入会、また、その数年後には島原青年会議所に入会することになりました。
YEG・JCと呼ばれる島原の青年団体で、自分と同じような境遇の自営業や後継者の集まりでしたので、異業種ではあるものの同じような悩みを抱えた同世代の仲間との活動や交流は本当に楽しく、また、「ボランティア」と一言では片付けられない、「郷土島原をどげんかせんばいかん!」という気持ち、「利他の精神」「郷土愛」を学ばせてもらうことができました。

そんな活動の中でも「まつり」という活動は、私を「まちづくり」へと突き動かす原動力となりました。
まったく興味のなかった郷土「島原」。
本気で「島原はなんにもない、おもしろくない田舎」と思っていました。
そんな私が「まつり」の運営をするようになり、なぜこの「まつり」が行われているのかその歴史を知り、これまで先輩たちがどんな思いでこの「まつり」を継承してきたのか。
知れば知るほどに「島原」が大好きになっていきました。
やっと「島原はなんにもないんじゃない。
島原にしかないものがたくさんある」ことに気づかされました。

さて、話は最初にもどりますが、22年前コンビニもなくチェーンの飲食店もなかった島原が、今ではたくさんのコンビニ、飲食店もできました。
すごく便利になりました。
なのに!現在の島原は、人口は減り続け22年前の島原より明らかに活気がなくなっています。

少子高齢化は国の問題として、地方がどうにかできるものではないのかもしれませんが、「やっぱり島原が好き。
島原に住もう。
島原で子育てしたい」という気持ちを、「まつり」を通じて今から大人になっていく子どもたちに持ってもらうことくらいはできるんじゃないか?そう感じはじめました。
私が「まつり」を通じて「島原」を大好きになったように。

私は今、「しまばら温泉不知火まつり」と「島原コスプレの乱」という「まつり」の実行委員長をしています。
「しまばら温泉不知火まつり」は今年で39回目を迎える歴史あるお祭りですが、時代の変遷と共に改革の真っ最中です。
そして「島原コスプレの乱」ですが、島原の公共観光施設を活用した「シェアリングエコノミー」として昨年、島原市・島原観光ビューローが開催したイベントを地元有志で引き継ぎ、現在地元スタッフが約40名おり半分以上は10代~20代の若者たちです。
そんな若い彼らは言います。
「島原にはよそにない素敵な撮影ロケーションがたくさんある!だから全国からコスプレイヤーが撮影に来てくれる」と。
彼らは「コスプレ」を通じて「島原の魅力」をしっかり把握しています。
そしてなにより「島原」が大好きなのです。

島原コスプレの乱実行委員会のみなさん

「まつり」のあり方は、時代と共に変り行くものなのかもしれませんが、「まつり」が生み出す「郷土愛」は変ることがありません。
私はそんな「郷土愛」醸成のために、今日も夜な夜な家業の傍ら「まつり」の実行委員会を開き、若者たちを巻き込んでいくのです(笑)

松尾 建国(まつお・たつくに)
プロフィール
1971年、島原市生まれ。
第三小学校・第二中学校・島原高校卒のバリバリの島原人。
帝京大学経済学部卒業後、東京の印刷会社勤務を経て1996年実家の松尾印刷所入社。
家業の傍ら島原商工会議所青年部・島原青年会議所の活動をとおして島原の「まちづくり」について真剣に考えるようになる。
特に「まつり」に傾注し、現在、不知火まつり実行委員長・島原コスプレの乱実行委員長、他多数のまつりに携わる。

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