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元気企業『有限会社シキシマ』

地元の新鮮食材とこだわりの製法で蒲鉾造りを実践

長崎の特産品「カマボコ」の製造、販売をおこなう半島の老舗会社だ。
最近、新店舗を新築移転し一段のスケールアップを図った。
創業は戦後の1958年(昭和33)、実父の敷島繁一氏が蒲鉾製造の会社を立ち上げた。

現在の2代目社長敷島広太氏が30歳の時に事業を引き継ぎ、25年を経た今年6月、国道251号線の見通しの良い場所に現店舗を新築移転し1日にオープンしたばかり。
製造、販売ともこの新店舗で業務を行っているが、「この機に新しく小売スペースも設けて製造だけでなく販売の拠点としての役割もはたしていきたい」(敷島社長)と話す。

敷島広太社長

敷島広太社長


現在の販売先は「長崎県内を中心にほとんどが九州地区で卸が約7割を占める」(敷島社長)というが、従業員13名の同社では社長自らが営業トップとして販路開拓の役割も担当しているという。

蒲鉾製品のオリジナリティを追求

冷凍すり身技術の進歩や高度成長の波にも乗って戦後一貫して伸び続けていた蒲鉾などの水産ねり製品は1975年(昭和50)をピークに、生活の洋風化や食品の多様化などの影響もあって、近年の生産量は横ばい傾向が続いている。
しかし、最近では蒲鉾の高タンパク低カロリーと優れた栄養価が認められ、今や時代にあった“ヘルシー食品”として見直されている。

そんななかで、「地元の食材をベースに手作りのよさにこだわる」(敷島社長)という同社は、すでに新しいマーケットへの挑戦を始めている。
毎朝3時から製造を行っている自家製の豆腐にすり身を混ぜ練り上げて作る同社自慢の人気商品「とうふ蒲鉾」を始め、「板付け蒲鉾」や「揚げ蒲鉾」、「焼ちくわ」など地元の豊富な食材を多く使ったオリジナル商品はいずれも人気が高い。
これに節句用や正月商品、パック商品類などを加えると商品の種類は「優に100を超える」(敷島社長)という。

「とうふ蒲鉾」は全国蒲鉾品評会で大日本水産会長賞を受賞しているが、他にも長崎県水産加工振興祭協会賞などをW受賞した「さつま揚げ」や「ゆず天」など逸品も多い。

明るく広い小売スペース

明るく広い小売スペース


数年前には地元産のジャガイモとすり身をブレンドしたパック商品として話題を集めている「かまポテト(プレーンと明太味の2種)」を島原商業高校と共同開発するなど開発姿勢も意欲的だ。

独自の製法にこだわる

同社の蒲鉾の製造については3つのこだわりがあるという。
その1つが昔ながらのみかげ石の臼(うす)と杵(きね)を使った製法。
これにより素材の細胞の破壊がなく旨味が閉じ込められキメ細かで柔らかな食感と歯ざわりが残せるという。

2つ目が雲仙山麓の湧水の恵み。
環境省の「日本の名水百選」にも選ばれた冷たく美味な地元の名水を利用している。
カルシウムイオン分などを含んだ成分豊かな湧水を利用することで、他所とは一味違った舌ざわりとまろやかな味を実現しているという。

3つ目が「塩」へのこだわり。
各地の塩を調査厳選し、現在は食品加工用に最適な「鳴門の塩」(徳島県)を利用している。

もちろん蒲鉾の素材そのものに地元の新鮮な魚介類や海藻、全国2位の生産量を誇るジャガイモ、玉ネギなどの根菜類をふんだんに使っているので当然かもしれない。

環境社会にマッチした企業姿勢と事業運営

昔ながらの製法にこだわる同社だが、生ものの生産に携わる会社だけあって2002年にはいち早く太陽光発電システムを導入、石油などの化学燃料を余分に使用しないので二酸化炭素(CO2)の削減や温暖化防止にも積極的に協力している。
また、同社では従来からアルミ缶やダンボール、牛乳パックなど13種類ものゴミ分別を徹底しており資源回収などの環境問題にも前向きに取り組んでいる。

現在はHACCP(国際規格の「食品製造工程上のハザード分析及び品質管理システム」)の取得にも全社をあげて取り組んでおり、近代的な製造設備やキメ細かな品質管理体制の徹底など、今後さらに1段階アップした優良会社に成長するのも真近だろう。

新装になった同社には、毎年地元の小学校から先生に引率された生徒達が工場見学に訪れている。
地域社会にも開かれた同社の今後の発展ぶりを想像させる光景でもある。

有限会社シキシマ
[南島原市深江町甲127-1]

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