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元気企業『島原鉄道株式会社』

明治41年(1908)会社設立。
全国にある私鉄180社のうち明治時代に設立された私鉄はわずか10数社というから、今年107年目を迎える島鉄は我が国の私鉄業界でも有数の老舗企業だ。
それも、「明治時代から続く私鉄の中で、唯一、今も電化せずに頑張っている」(本田哲士社長)こと自体驚愕すべきことだ。
明治5年(1872)、我が国で初めて新橋・横浜間を走って現在は国の重要文化財として鉄道博物館(埼玉)に展示保存されている「1号機関車」を一時期活用するなど、もともと島鉄は気鋭の私鉄として長らく先進的な役割をはたしてきた会社だ。
しかし、明治期から戦後の高度成長期にかけて幾多の災害を克服しながらも半島活性化の推進役として発展をとげてきた島鉄だが、最近のモータリゼーション化や少子高齢化、グローバル化など急激な社会構造の変化とともに近年は苦戦をしいられている。

半島の再浮上に欠かせぬ“主エンジン”

考えてみればこの島原半島に新しい文化や生活をもたらしたのも島鉄だが、近年の島原半島の盛衰もまさにこの島鉄と同じ軌跡をたどっている。
それほどに我々半島に暮らす住民にとっては一心同体的な身近な会社でもある。
今後も大なり小なり“身内”としての関係性は変わらないだろうし、もしこの関係が途切れるようであれば、それは半島自体がそれこそ“消滅都市”となる時だろう。
厳しい経営環境の中で“低空飛行”が続いている島鉄だが、最近は半島再活性化の推進役として積極的な行動プランを次々に打ち出している。
例えば、「ごちそうトレイン」 、「ミュージックトレイン」 、「健康ウオーク」、「ヘッドマークやつり革オーナー」・「サポーター」募集、「レンタサイクル」・・・などなどだ。
なかでも、’14年4月から始めた「鉄道体験学習デジタル教材」はWEBブラウザから同名を検索するだけで半島の自然や文化などの魅力を親子でも学べるコンテンツとして最高の教材だ。
ただ、このように多くのことに取り組み始めたからといってこれが直ちに業績改善につながる訳ではないだろうが、少なくとも前向きな変化が窺えることは事実だ。
そこには、「豊かな自然や歴史、温かい人情にあふれたこの土地(半島)の活性化に貢献したい」(本田社長)という地域の総合公共交通機関としての使命感をのぞかせる。

“共存共栄”型の一体となった地域おこしが必要

少子高齢化が進む今日だが、他所と違って島原半島には単に歴史や半島内の数多くの観光スポットだけでなく、今後期待される活性化のための素材はいくつもある。
例えば、雲仙・小浜・島原の3種の温泉や、インド洋・イギリス海岸・原城沖の3ヵ所にしかない珍しいリソサムニューム(最干潮時に現れる珊瑚藻の白州)、これに「世界ジオパーク」や「キリスト教関連遺産」なども加わる。
7年後(平成34)に開業予定の新幹線西九州ルートも交流人口の拡大にはプラスになるだろう。
だが、このような観光客誘致のための地域おこしの努力に加え、もうひとつ忘れてならないのは地域の公共交通機関である島鉄の活性化だ。
半島に限らず、少子高齢化で人口減少に苦しむ地域で重要なカギをにぎるのは公共交通の役割だ。
そのためには、何といっても日々そこに暮らす我々自身の意識改革こそが何よりも大切だろう。
地域全体の利益という観点からも、すでに財政的な支援をおこなっている自治体も含め、それ以上にもっと我々個人も身近に地域の公共交通を利用することが肝要だ。
地元に老舗の私鉄が存在する半島では、特に地域社会の活力維持・向上と公共交通の活性化は歴史的に密接不可分の「共存共栄」関係にある。
明治期から100年以上にわたって営々と半島発展の基盤を支え続けてきた島鉄は、半島再活性化の推進役として新たなステージを迎えている。

元気企業 本田社長

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