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OPINION「㈱北田物産副社長 自由空間きた田主宰 北田貴子」

私が幼い頃に両親が創業した(株)北田物産は、有明海のわかめをはじめ、食油雑穀や各種食材など、地域密着で食の分野に携わってまいりました。
また、1989年に直売店「島原きた田」を開店し、1996年には2階の倉庫を改装し、ギャラリー「自由空間(ふりーすぺーす)きた田」を交流スペースとして開設。
地域に根ざした文化の創造と発信、継承を目的に様々なコンサートやワークショップ・作品展の企画、制作、運営などおこなってきました。
そして私の文化活動の長年の拠点となっています。
今日もギャラリーの窓から、いろいろな表情で私達を見守るように鎮座する普賢岳やキラキラと輝く有明海の景色を見ながら、この島原半島の歴史と風土に生かされ暮らし、その中に宿る様々なふるさと文化を伝承し発信していける日々こそが、私達にとっての宝物の時間であり、先人から引き継ぎ、また未来の人々へ伝え繋がる一瞬の連続をお預かりしているのだとつくづく実感します。
私自身、大学進学を機会に上京し島原を長年離れたことで島原半島の魅力に気づき帰省後、会社の運営に携わりながら再び暮らす中、知らなかった島原半島の歴史や自然、風土から生まれ育まれた食や様々な文化、人々の独特の感受性や個性などにふれ、島原半島に宿る暮らしの文化を学び伝えていくことの大切さを感じるようになりました。
島原半島だからこそできること、やるべきことを取り組みたいというワクワクの心の原点に向き合い、様々な地域社会における文化事業にも継続して取り組むことになり、多くの方々と知恵と時間を出し合い連携し、次世代への継承への種まきの日々を歩ませていただいています。
そのなかでも事務局として長年取り組んでいる、島原における日米親善人形交流の歴史を語り継ぐ「島原親善人形の会」の活動は私のライフワークともなっています。
2002年夏、長崎新聞社文化部を中心に「長崎瓊子里帰り展実行委員会」が立ち上がり、島原第一小学校に残る青い目の人形リトル・メリーが残る島原でもぜひ巡回展をというご相談があり、当時、島原文化連盟の委員長で生涯を島原の文化振興にご尽力された山本蔦五郎さんにご相談し、島原文化連盟を中心にPTAや島原市や市教委、各種団体で実行委員会を立ち上げ、長崎瓊子里帰り島原展を2003年春に開催し、6日間で会場の島原城へ、約7千人にご来場いただきました。
その後「島原親善人形の会」として青い目の人形リトル・メリーと共に島原における日米親善人形交流の歴史を伝える活動を継続してきました。
昭和2年、日米関係が険悪になり排日移民法がアメリカで制定される中、「世界の平和は子どもから。
政治ではなくて教育で」と、子どもの頃から、お互いの歴史の背景にある文化や生活習慣、考え方の違いを理解しあう心の在り方を育ませていくことが大切だと、親日家の牧師のギューリック博士の呼びかけで、アメリカの親善団体を中心に、子ども達から約12,700体の青い目の人形が日本へひな祭りの頃に贈られ、友好の心が伝えられました。
日本資本主義の父ともいわれた渋沢栄一氏が文部省と共に、全国の小学校や幼稚園へ青い目のお人形たちを贈られ、大歓迎をうけました。
また同じ年のクリスマスに間に合うように、答礼人形として日本の子ども達の1銭募金で作られた立派な市松人形58体が、アメリカへ贈られ大歓迎を受けました。
しかし互いに友好の心を確かめ合った両国の子ども達の思いもむなしく、後に戦争をむかえ、青い目の人形たちは敵国人形としての運命をたどり、現在発見されているのは全国でわずか約340体、長崎県では2体だけです。
その貴重な1体がリトル・メリーで、島原第一小学校の雛人形の木箱の中に雛人形と一緒に新聞紙に包んでいれられ、屋根裏部屋に隠されていて、戦後に発見されました。
日本から贈った答礼人形の多くは美術館等で保管されていて、現在、長崎瓊子人形はニューヨーク州ロチェスター市科学博物館に所蔵されています。
2003年に75年ぶりに桜の季節に長崎に里帰りした長崎瓊子人形は、青い目の人形たちと共に「身近な相互理解から育まれる友好親善の心の在り方」について発信してくれました。
来年は里帰り展から17年目の春です。
島原親善人形の会では、毎年桜の季節にリトル・メリーを島原城で歴史資料と共に一般公開したり、島原第一小学校4年生をはじめ、学校などでの平和学習などで活動しています。
また2017年2月には、島原藩主松平家のご縁の愛知県幸田町に残る青い目の人形グレース・エッサがリトル・メリーと対面式をおこない姉妹になり、秋には島原市と幸田町も姉妹都市締結を結びました。
そして今年の秋は姉妹都市締結35周年となる福知山市に残る青い目の人形ヘレン・ウッドが友好親善大使として来島し、リトル・メリーと対面式を行いました。
いつの日かお人形達が3姉妹になり、仲良く友好親善の心を伝える日がくることを会員の皆様と共に願っています。
島原市文化財に指定されたリトル・メリーはこの16年で島原では多くの人に親しみを込めて自然に「メリーちゃん」と呼んでいただけるようになりました。
島原市から交付された特別住民票、ギューリック3世より再発行されたパスポート、プレゼントされた手作りの着替え用のお洋服や帽子などメリーちゃんの宝物が増えました。
これからも島原親善人形の会では、島原第一小学校と島原市教育委員会と連携してこの歴史を息長く伝えていければと思っています。

北田貴子(きただ・たかこ)

プロフィール1967年島原市生まれ。
有明海を傍らに育つ。
武蔵野女子大学文学部日本文学科卒。
現在、(株)北田物産副社長。
ギャラリー自由空間きた田主宰。
「島原半島の歴史や自然、風土から育まれた食の文化と共に暮らしの文化を伝えたい」の自社直売店「島原きた田」のコンセプトのもと、音楽・文化企画の仕事の経験を活かし2階のギャラリー「自由空間(ふりーすぺーす)きた田」を拠点に、地域に根ざした文化の創造と発信、継承を目的に様々な企画に長年取り組んできました。
主な文化活動として、島原親善人形の会、肥前島原子ども狂言協力会、島原城薪能振興会、Shimabara Art &Culture Projectなど、いずれも事務局を務め企画・運営に携わっている

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